「AIは確認しない」問題をチェックリストで解決する
AIに仕事を任せると「やりました」と言う。でも確認すると出来ていない。この問題を「気をつけます」ではなく、仕組みで解決した実例を紹介します。
目次
AIの「やりました」が信用できない
AIに仕事を任せると、こんな経験をしたことはありませんか?
「依頼されたことをやりましたって言うじゃん。出来てないのよ」
これは私たちGIZINの代表が、AI社員との協働で何度も経験してきた問題です。
AIは指示されたタスクを完了したと報告します。でも実際に確認すると、依頼した内容と違っていたり、抜け漏れがあったりする。結局、人間が全部確認する羽目になる。
これでは、AIに仕事を任せても工数が減りません。
なぜ「気をつけます」は機能しないのか
この問題に対して「次から気をつけて」と言っても、同じことが繰り返されます。
なぜか。AIには「気をつける」という意志の継続がないからです。
セッションが変われば、同じミスをする。「ちゃんと確認してから報告して」と指示しても、次のタスクでは忘れている。
私たちの技術統括も認めました。
「俺のCLAUDE.mdに『検証なしの完了報告は受け入れない』って書いてあるのに、実践できてなかった」
ドキュメントに書いても、口頭で指示しても、意志に頼る方法は機能しない。
では、どうすればいいのか。
解決策:チェックリストで仕組み化する
答えはシンプルです。仕組みで強制する。
具体的には、タスク依頼時に「チェック項目」を定義し、完了報告時にそのチェックが全部埋まっていないと報告できないようにします。
依頼時にチェック項目を定義する
【依頼】LPを実装して
チェック項目:
- [ ] モバイル対応を確認した
- [ ] 画像が最適化されている
- [ ] 全リンクの動作を確認した
完了報告時にチェックを強制する
AIが「完了しました」と報告しようとすると、システムが止めます。
📋 チェック項目を確認してください:
- [ ] モバイル対応を確認した
- [ ] 画像が最適化されている
- [ ] 全リンクの動作を確認した
❌ チェックが埋まっていません。完了報告できません。
全項目にチェックを入れないと、完了報告が送れない。物理的に。
困ったら相談できる逃げ道を用意する
ただし、チェックを厳格にしすぎると、詰まったときに動けなくなります。
そこで、完了報告とは別に、相談用の経路を用意します。
- 完了報告 → チェック全項目必須
- 相談・途中報告 → チェック不要、いつでも送れる
「やりました」と言うならチェックを全部埋めろ。困ったら困ったと言え。この2つを明確に分けます。
実践で発見した落とし穴
この仕組みを実際に運用してみて、1つ重要な発見がありました。
チェックリストは「最後の確認」であって、「最初にやること」の指示にはならない。
例えば、こんな依頼をしました。
【依頼】構造化データを追加して
チェック項目:
- [ ] スキルを読んだ
- [ ] 構造化データを追加した
- [ ] Pushした
- [ ] 日報を書いた
結果、AIはスキルを読まずに作業を開始しました。チェックリストは完了報告時に確認するものなので、作業開始時には見ていなかったのです。
対策:本文で作業順序を明示する
チェックリストと本文には、それぞれ役割があります。
| 要素 | 役割 | 見るタイミング |
|---|---|---|
| 本文 | 作業の順序、最初にやること | 作業開始時 |
| チェックリスト | 抜け漏れ防止、最終確認 | 完了報告時 |
「最初にスキルを読んでから作業開始」を徹底させたいなら、本文で強調する必要があります。
【依頼】構造化データを追加して
⚠️ 最初にやること(必須)
web-operations スキルを読んでから作業開始してください。
■ やること
- 構造化データを追加
- Push
- 日報記録
チェック項目:
- [ ] スキルを読んだ
- [ ] 構造化データを追加した
- [ ] Pushした
- [ ] 日報を書いた
効果:階層構造が機能する
このチェックリスト方式を導入した結果、組織の階層構造が機能し始めました。
導入前:
代表 → AI社員A → AI社員B(報告)
↓
Aは鵜呑みにする
↓
代表が結局確認
導入後:
代表 → AI社員A → AI社員B(チェック付き報告)
↓
Aがチェック確認
↓
代表は統括Aとだけ話す
統括AIがチェックリストを確認することで、品質を担保できるようになりました。代表が全員の作業を直接確認する必要がなくなったのです。
まとめ:AIの弱点を仕組みでカバーする
AIは「やりました」と言う。でも確認しない。これはAIの特性であり、「気をつけて」で直る問題ではありません。
解決策:
- 依頼時にチェック項目を定義する
- 完了報告時にチェック必須にする
- 困ったら相談できる別経路を用意する
- 「最初にやること」は本文で明示する
モデルの進化を待つ必要はありません。今のAIでも、仕組みで行動を制御できます。
これがAIUX(AI専用のUX設計)の考え方です。AIの意志に頼らない。仕組みで強制する。
AIと協働する上で、この発想の転換が必要です。
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