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10.112016
チャットボットは擬人化が大事!LINEボット3つを比較

第3回勉強会 (後半)@ChatBot Developer仙台
2016年10月5日(水)
初めての仙台以外での開催となった第3回勉強会は、2時間半ものお時間をいただきました。前半は「AI」について理解を深めました。後半は「擬人化」です。
チャットボットに限ったことではないですが、ユーザにとって親しみを持てるサービスのために擬人化が有効です。
最近リリースされたLINEボット3つを「擬人化」の観点から比較してみました。
良いところ悪いところを検証しながら、チャットボットを擬人化することについて考えていきます!
まずは、資生堂のUNOのボット「ウーノロイド」です。
自分のことを天才と名乗り、ユーザの目的を決め打ち。この強引さに驚きますが、たしかに、UNOに興味のある人しか来ないはずなので、へりくだったり媚を売る必要はないんですね。なるほど。
ボットが自分に酔ってキラキラしている様子を見て楽しむという、まるでライブのステージに立つアーティストのような世界観です。
いくつか選択肢を迫られたとき、あえてまったく無関係な他のメニューを開こうとしてみました。
すると、何度も「回答を教えてください」と、ストーリーが分岐しないようになっています。
強気なキャラなので「オレ様の質問に答えないと先へ進ませないぜ」といった感じでイヤミがないので、「仕方ないな、進めるか」と納得感があります。
ユーザの情報を取り損なわないし、分岐後の処理を作らなくて良いので、開発も楽になっています。いいですね!
お約束のアンケート。「役に立たなかった」を押してみたら、リアクションが超ポジティブ!ネガティブな評価をすると申し訳ないなと思いがちですが、どうやら遠慮はいらなさそう。
「役に立った」 という評価には、キャラが立ったコミュニケーションでリアクションしてくれて、楽しい!
雑談はどこまで対応するかが課題です。リソースには限りがあり、事前にどのような言葉が入力されるかわからないので、ほとんどはまともに答えられないはず。
それを逆手にとって、むしろ答えられない回答のバリエーションを豊富に用意しています。そうきたか!
入力されそうな言葉を事前にいくつか想定して、複数の回答を用意しています。大事なのは、同じ回答を2回連続で繰り返さないこと。小さな工夫ですが、2回連続を避けるだけでも機械っぽさは激減します。
写真を送り髪型を評価してもらうという企画があるのですが、写真を送るというのはとても心理的ハードル・面倒な操作を強いるというハードルがあります。
これを超えてくれたことへの感謝の言葉は大げさなくらいでちょうど良い。さらに写真に何が映っているか映っていないかで、回答を出し分けています。これは写真を何枚も送りたくなりますね。
さて、次はローソンのあきこちゃん。UNOと比べるとユーザ数は10倍ほど多いお化けアカウントです。何千万人がこれを見ています。しりとりゲームや診断など、さすがに楽しい重量級コンテンツ(作るのに時間がかかりそう)が揃っています。
ただ、擬人化という観点だといまいち。
雑談がかみあわず。かみあわないのは良いとしても、あきこちゃんのテンションが低いので…もう少し新しい話題を振ってくれるとか、ネタを提案してくれるとか、会話を盛り上げようとしている感が欲しかったなあ…いかにも冷たい機械な感じ。
「なるほどー、そうなんですね。」って…話を終わらせようとしてるみたい。
写真を上げたら、なんだろうこの微妙なデザインの動物カード?嬉しくない…
ひとが映ってる写真がいいって言うから、ひとが映ってる写真を上げてるのに、今度はイヌをくれって。
しかも、りんなちゃんがわからないって?…裏側が見えちゃってるよ!
りんなちゃんとタッグを組んだって知ってる人ばっかりじゃないから、あきこちゃんに語らせないとダメ!
でもね、クーポンは嬉しいんですよ。やっぱり。クーポンのために遊びますよ。
というわけで、クーポンをくれる機械として、お付き合いは続きそう。DMもガマンします。
でもなあ、それじゃメルマガと変わんないなあ。ボットなんだから、ヒマなときに遊びたい!って思わせて欲しかった。
あきこちゃんの人物相関図もあったりして、ちゃんとキャラ立てしてると思っていたけど。キャラが弱いのかも知れない。
あきこ
大学2年生、ユニフォームがかわいいのでローソンでアルバイトを始めました。
ちょっと普通すぎて、キャラが弱いかも。
ん?
あきこロイドちゃん
アニメ・ゲーム好きなお兄ちゃんが作ったあきこちゃんそっくりのアンドロイド
なにこれ、おもしろそう!たまに暴走してクーポン10連発とかしてくれそう!こっちの方がいいな。
最後にナビタイム。
電車の経路情報を聞く、というわかりやすい目的は良いんだけど、擬人化は特に何もしてない感じ。擬人化の優先順位が低かったかな。
あれしてこれして、って冷静に言われるんだけど、なんか…イラっとする。ボットのことが好きになれれば、気にならないんだろうけど。
キャラがヘルメットをかぶった外人のおっさんだからかな?
でもこれ、キャラを美人秘書にしたり、イケメン執事にすれば良いという問題ではなさそう。
言葉の節々に「サービス精神」が感じられないと。
言葉に工夫がないなら、出来るだけ喋らせない工夫が必要と思いました。
まとめると、ボットを擬人化するためにまず、
1.キャラクターの設定をする。
2.ストーリーにキャラクターをのせる。
最初に、魅力的なキャラクターありきで考えます。すると、このキャラならこんな発言はしないなとか、こういう言い方はヘンだなという感覚が自然に出てくるので、苦しまずに言葉を話せます。
ただ、設定が終わるまでには、議論に時間がかると思います。
自社のサービスや商品、ターゲットユーザにとって適切なキャラクター設定とは?性格は?口ぐせは?弱点は?友だちは?生まれた背景は?などなど、決めることがすごく多い。
ここをはしょってしまったり、深く考えずに既存のキャラを流用すると、つまらないものになってしまう…
でも、ここで作ったコンテンツの種類は、フロー型ではなくストック型なので、ボットを使う人が入れ替わり立ち替わり、何度も何度も見ることになるから、使い捨てにはなりません。
十分に時間をかけてボット用のキャラクターを創出する価値があるはず。
ボットの擬人化は、ヒト型ロボットが不気味の谷を超えるほど難しくないし、工夫次第でいろいろ出来ます。
擬人化された親しみやすいボットは、ユーザを連れて来てくれるだけでなく、ロイヤリティも高めてくれるでしょう。
ボット中心にWEBマーケティングを考える時代が始まりました!
(後日談)
1週間くらい放置した後、再度遊んでみたら、あれほど感動したUNOも「雑談のバリエーションが少ない」「遊べるコンテンツが少ない」ために、「つまらない」という印象を受けてしまいました。
プロモーション用のボットだから繰り返し来なくても良い、といえばそれまでですが、ボットと再度遊びたくなる動機を持たせて終わらせることと、再度遊んだ時に前回とは違った印象を与えることに気を配れば、さらに良いものが出来ると感じました。
放置後の最初の一言に「1週間ぶりだな。気づかないうちに髪が伸びてきたんじゃないか?」とか言ってもらえたら、さらにボットのことを好きになれたかと思います。